札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2010年7月31日土曜日

医学・歯学教育指導者のワークショップ

7月28日、東京の慈恵会医科大学で開催された「医学・歯学教育指導者のワークショップ」に参加した。神津忠彦先生の司会のもとで山本和利は「札幌医科大学におけるAdvanced OCSEの取り組み」の講演を行った。OSCE導入後、学生の実習態度、臨床推論能力に変化があったかどうか質問があった。(実習には意欲的になってきたが、臨床推論能力は上がっていない)。OSCEについては歯学部からも発表があった。他には筑波大学の前野哲博教授が「他職種、地域の医療機関等と連携しての実習」について報告した。(実習をするフィールドが重要である。いばらき地域医療研修ステーションで実習をする。水戸地域医療教育センターの話。解説によって内科医2名が20名に増えた。)
その後、午前中に行ったセッションのまとめとして、グループ別全体報告会・総合討論が行われた。順不同で提示する。
<臨床能力、地域医療、基礎講義の今後の在り方>文科省と厚労省の整合性を図って欲しいという意見がだされた。SP養成が課題である。地域医療への予算的な継続性が心配。地域枠で入った学生が本当に地域に行くのか。6年生の教育が疎かになっている。臨床能力習得においてOSCE以前の教育が不十分。国民が求めている地域医療ニーズに触れることが大切ではないか。基礎医学に学生が進路をとらないのは魅力が少ないからではないか。医学の中に歯学の講義を増やして欲しい。医療安全の現場教育が重要。
<評価の在り方>目標設定を明確に、治療を加える。電子カルテへの学生に記載させるかどうか。立ち去り型学生への対応。Happy Mondayで実習期間が不均一。エポックの学生版を導入してはどうか。地域病院への交通費・謝金をどうするか。臨床講師に定期的にFDすることが重要。患者さんの臨床実習への参加が得にくくなっている。「あなたは臨床研修医1年生です。さあ患者さんを診てください」という条件で卒業試験をすることが大切。
最後に高久先生から講評があった。スキルド・ラボ利用を促進するようなシステム構築を提言。マッチングは5年生の春休みがよいのではないか。全国に44の地域医療教室がある。日本の医師はcost effectivenessをほとんど考えていないと海外の医師たちに思われている。費用効果についても教えるべきである。到達目標の提示も必要。国家試験問題はよくなっているが、問題数が多すぎる(CBTと重複するような問題を減らしてはどうか)。PhDの教官がcommon diseaseの研究者なら学生への影響も悪くないのではないか。学生が臨床推論の討論に参加できていないのではないか。手技は地域の医療機関の方がやりやすいのではないか。(山本和利)