日本内科学会総会・講演会で浦島充佳先生の講演を拝聴した。
小児喘息のガイドラインを例に検討した。日本版は書籍として3500円かかるが、米国版は無料でホームページからダウンロードできる。
日本では軽症例にロイコトルエン受容体拮抗薬が入っている。また、中症(発作が週2回)例でもロイコトルエン受容体拮抗薬が入っている。
米国では軽症、中等症では、発作治療で十分となっている。
どうも日本のガイドラインはロイコトルエン受容体拮抗薬の優先度が高く思える。
米国は吸入ステロイド使用を中心に据えている。(これは5つのエビデンスに基づいている)
日本では、ロイコトルエン受容体拮抗薬が吸入ステロイドに劣っていないという1論文に根拠をおいている。この論文にはこの薬剤を販売する会社の研究員が含まれており、利益相反が疑わしい。また、ガイドライン作成委員が不明、外部員がいないという問題もある。論文抽出が米国では明記されているが、日本では明記されていない。エビデンスの順位付けもされていない。米国が採用している重要な論文4編が日本では採用されていない。コストも吸入ステロイドはロイコトルエン受容体拮抗薬の1/3である。ただし将来の1.2cm身長が低くなるという報告がある。総合的に考えると、吸入ステロイドは副作用よりも利益が勝る。
日本の小児喘息のガイドライン作成には製薬会社の意向が反映されている可能性が高そうだ。ガイドライン作成のためのガイドラインが必要のようだ。(山本和利)