4月27日 北海道プライマリケアネットワーク 研修発表会。
本日はNPO法人北海道プライマリケアネットワークの通常総会が「かでる2・7」の会議室で開かれた。その中で、現在当法人の後期研修医として研修中の研修医の昨年度1年間の研修発表会が開かれた。
これまでの1年間で経験した症例の概略の発表では、几帳面に症例数を記録しているさまが見て取れた。後期研修ともなると、大方の研修医は日常診療が「研修」というより「業務」となり、右から左へと「流れ」ていきがちとなる。そんな中でも「経験症例」として、記録を残しているさまは丁寧に研修を行っている証といえるだろう。
市内でも有数の救急病院で研修しただけあり、その経験症例数はかなりの数になる。それも、内科ではなく、他科での研修ということで、分野も多岐にわたり、まさに「ほとんどの病気を経験している」感じである。こうした研修ができるのも当法人の特徴といえるだろう。
続いて、最も印象に残った症例の振り返りの発表である。
症例は小児の自殺未遂である。
この症例は研修医にとっては相当印象に残った症例のようで、昨年度の研修中も何度か相談を受けた症例であった。
救急病院では自殺企図の患者さんは「救命」のみ行って、その後の診療は精神科でお任せするという流れ作業のようになることが多い。実際研修医本人もいままではそのように思っていたようであるが、この症例をきっかけに、患者の心理的な背景や家族構成・学校などの社会的な背景にも思いをはせることができたようである。また、この症例のように、「自殺未遂」という形で何らかの表舞台に出たものはほんの「氷山の一角」であり、その海面下には、いつ表舞台に出てもおかしくない状態の「前患者」が多数いるのではないか?という気付きが生まれたようだ。
一つの症例から、時間をかけて、多方面にわたる振り返りを行えるのも当法人の教育の特徴である。会場からは経験豊富な小児科医や、地域医療の最前線の現場の学校医からの適切なフィードバックもあり、学び深い研修発表会となった。
現在、当法人の後記研修医は1名しか在籍していないが、今後、われわれと志を同じくする若手がどんどん増えてくることを願ってやまない。 (松浦武志)