日本内科学会総会・講演会で北里大学の廣畑俊成先生の講演を拝聴した。
SLEの神経障害の特徴は
1.症状が多彩
2.副腎皮質ステロイドの影響
3.全身の疾患活動との乖離、である。
神経障害と精神障害(Lupus精神病)の2つのパターンがあるが、
Lupus精神病はステロイド開始後に半数以上が発症している(6週以内)。
これを診断する際、血清中の自己抗体は感度・特異度が高くない。そのうち、抗Sm抗体、リボソ-ムPは上がる(50%)ので役立つ。抗リン脂質抗体による血栓形成がこれに関係している可能性がある。リボソ-ムPが中枢神経の炎症に関わるサイトカインに働きかけ血管内皮細胞に炎症を起こす。
髄液中抗神経細胞抗体がLupus精神病に明らかに関与している。(抗RPN抗体も関与)
N-methyl D-aspartate receptors(NMDAR)抗体による辺縁系脳炎が報告されており、自然寛解することが多い(死亡例もある)。
中枢神経Lupusでは髄液中のIL6が高い(感度88%、特異度92%)ので診断に役立つ。特に急性混迷状態で多い。脳血液関門が破壊されて、髄液中のIg産生が起きている。
治療は
ステロイドが基本である。抗痙攣薬等は対処療法である。生物学的製剤のエビデンスはない。
70%が急性混迷状態でけいれんを伴う。ステロイド内服とパルス療法を行う。エンドキサンパルスによって再発率を下げることができる。死因は原病コントロール不全が半数である。(山本和利)