『人類にとって重要な生きもの ミミズの話』(エィミー・スチュワート著、飛鳥新社、2010年)を読んでみた。
ミミズと言っても土の中にいる気持ち悪い虫としか認識していない者が多いのではなかろうか。ところが、本書を読んでみて、「地下で起きていることの大部分の鍵を握っているのはミミズである」ことがわかる。ダーウィンからミミズの研究『肥沃土の形成』が始まったという。土地はミミズによって繰り返し耕され、現在でも耕されているので、カルシウム不足対策に重要な役割を果たしている。地中深くまで通気性がよくなるし、植物の根が伸張しやすくあるし、養分も得られる。ミミズ1匹の腸管内には50種類もの細菌が住んでいる。
土壌生態系においてミミズは強大な影響力をふるう存在である。ミミズは死ぬと瞬く間に分解されてしまう。ミミズは皮膚で呼吸する。眠らないらしい。ちょん切られたミミズが再生するのは片側だけである。ミミズは頼もしい益虫にもなれば、恐ろしい害虫にもなる。ミミズは生態系のエンジニア。ミミズは危険をいちはやく告げる「炭鉱のカナリア」となって、土壌や地下水中に含まれる汚染物質がどの程度悪影響を及ぼしているかを明らかにしてくれる。処理施設から出るバイオソリッドをミミズに食べてもらえば、臭いが軽くなるうえ、土の粒も均質化し、栄養分の富んだ土になる。
この本を読んでから、ミミズを見つけたとき持ち帰って、そっと家の畑に入れてみた。(山本和利)