11月12日、松前町立松前病院の木村眞司院長の講義を拝聴した。講義のタイトルは「地域での日常疾患」である。
まずは「松前町、松前漬けを知っているか?」という問いかけから。軽く自己紹介。北海道生まれ、北海道育ち。将来なりたかった職業;英語教師、坊さん、農業従事者。「ネパールの青い空」を読んで地域医療に貢献しようと思った。空手道部、スキー部。自宅通学。学生時代に米国の医学生と出会った。そこでFamily Medicineを紹介された。恩師塚田英之先生の言葉、「君、若くありなさい。若い時は何でもしなさい(オリジナルはドイツ語)」を紹介。母校に残ろうとした物理学者ファインマンが恩師に言われた言葉、「よそがどんなかを見てきなさい(オリジナルは英語)」。様々な研修をして2005年から松前町立松前病院で家庭医・何でも科医で働いている。ここで松前町の紹介に移る。北海道最南端。函館まで95km。桜、鳥。野鳥観察小屋。医師の紹介。江良診療所。医師の一日を、写真を使って紹介。「松前塾」。「プライマリ・ケア・レクチャー・シリーズ」。
松前町でのよくある病気・症状
それぞれの領域で1番頻度が多いのは、消化器系:便秘、循環器系:高血圧、呼吸器系:気管支喘息、血液:鉄欠乏性貧血、代謝・内分泌:糖尿病、腎・尿路系:腎機能障害、神経系:パーキンソン病、精神系:不安障害、社会問題:独居、感覚系:糖尿病性神経障害、難聴、筋骨格系:関節炎、RA、皮膚:皮膚乾症、その他;肥満。
夜間救急では発熱が断トツに多い。
入院患者;認知症、高血圧、糖尿病、肺炎、脱水、心不全、気管支喘息、うつ病、等が多かった。
後半は松前町立松前病院の実習方針・風景の紹介。実習者はすべてのカンファランスに参加。必ず観光案内をする。希望者には農作業。皆で歓迎する。(新企画)一緒に走る、山登り、魚釣り。
最後に学生さんに考えてもらいたいことを述べられた。様々な地域や医療機関を見て見聞を広める。自分が本当にやりたいことを見つける。一人ひとりの行動が医療を変えるかもしれない。学生さんの中から将来北海道の地域医療を担う人がたくさんでることを願っている、という言葉で授業を終えられた。
学生の感想として、楽しそうな松前病院の実習に参加したいというものと、札幌を飛び出して視野を広げたいというものが多かった。実行力のある指導医の言葉の威力が絶大であることを再認識した。(山本和利)