札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2010年11月29日月曜日

北海道家庭医療フォーラム2010

11月27日、道内の日本家庭医療学会認定後期研修プログラムの運営 組織・研修医間の交流、情報交換、お互いのレベルアップを図り、「北海道では家庭医療・地域医療が活発に行われている!」 「家庭医療を研修するなら北海道だ!」のイメージ作りを行い、北海道の医学生・初期研修医への家庭医への興味を引き起こすことを目的に「北海道家庭医療フォーラム2010」がかでる2.7で行われた。対象は、医学生および初期研修医。
広場1-6を準備。時間経過に沿って紹介する。

広場2は「頭痛の患者さんがやってきた」講師:木村眞司先生。
○×△で答えてもらう。まず人物の年齢を当てる。鳥の名前。42歳の女性。頭痛でときどき寝込んでしまう(片頭痛)。35歳男性。時々吐く(片頭痛)。じっとしている(片頭痛)。毎晩痛くてのたうちまわる若い男性(群発頭痛)。一番多い頭痛(緊張型頭痛)。締め付けられる感じで肩こり(緊張型頭痛に特異的ではない)。時々起る頭痛(緊張型頭痛)。片頭痛で両側が痛む(40%)。片頭痛の性情は拍動性である(×)。

広場3-1は家庭医療シュミレーション体験。「胸痛の患者さんがやってきた」講師:松浦武志先生。
60歳男性。胸痛。苦悶様。この病気は何か(急性心筋梗塞)。72歳の男性。前胸部が引き裂かれるような胸痛。苦悶様。(解離性大動脈瘤)。21歳男性の胸痛。突然、息をするとき痛む、息苦しい(自然気胸)。年齢・性別・主訴・背景からおおよその疾患のあたりをつける。30歳男性。自衛隊員。シクシク痛む。食欲がない。便が黒い(消化管潰瘍)。16歳女性の胸痛。いろいろ調べてわからない。朝起きると胸痛(身体表現性障害)。家庭医は診断のスペシャリストである。

広場3-2は「腹痛の患者さんがやってきた」講師:小島一先生。27歳女性の下腹部痛。頻尿、発熱。月経、妊娠について訊く(骨盤内感染症)。鑑別診断は、PID,憩室炎、卵巣捻転、子宮外妊娠、虫垂炎、等。PCR検査をする。妊娠反応陰性。PIDに特異的な所見は?(頸部を動かした時の痛み)「SEXしていない」というひとは妊娠しない(NO)。その他のSTIのスクリーニング、パートナーの治療と教育が大事。27歳の女性に必要な健康に関することは無限にある!疾患だけを診るのではない。

広場3-3は「在宅シュミレーション体験(在宅医療を体験してみよう)」講師:安藤高志先生。人口10万人の都市の診療所。「家の中で転んで歩けない」という電話。ここでの注意:診察鞄の道具確認、患者宅へ電話、免許証、携帯電話、財布。家の前で注意:立地条件、家の広さ、隣との距離、入り口(重要)、駐車場所。家の中で着目:玄関の段差、狭くて暗い廊下、電気コード。 部屋の中で着目:襖の段差、敷物の隙間、暗さ。自宅で点滴するとき必要なもの:ハンガー(紐、画鋲)。家の中に飾られている物に着目する。病院とは違った視点でヘルス・アセスメントをする。       

広場1はポスター発表。9のプログラムから発表があった。発表3分、質問2分。優秀なものを表彰。

広場4は公開講演「家庭医って何?(家庭医を知ってもらおう!)」 奈義ファミリークリニック所長 松下明先生の講演。 なぜ家庭医を目指したか?現在20年目。無医村で働くための専門科がない。そんなときRakelの「Family Medicine」という本に出会った。川崎医大総合診療部で5年。ミシガン州立関連病院で3年。行動科学という科目があった。人口6,500名の町。奈義ファミリークリニックへ。電子カルテで家族図が描ける。9名の家庭医。よく診る疾患の紹介。写真を使って後期研修医の活動の紹介。病院、自衛隊へ出張、往診。手技編。地域活動編。
家庭医を特徴つける3本柱
1)患者中心の医療
2)家族志向のケア
3)地域包括医療;予防医学、学校医、産業医、老人ホーム嘱託医。
行動変容の話。椅子の高さや視線、仕草で相手に波長を合わせる。驚いてほめる。プランは患者自身に立てさせる。重要度と自信度を訊く。怒りを表す患者に対して理解を示すことが重要。
家族志向のケア:家族の木をイメージ(家族図を描く)。家族ライフサイクル。それぞれの時期で発達課題がある。5段階ある。
生物・心理・社会モデル(G.Engel)の紹介。ターミナルケアの事例を紹介。
幕の内弁当仮説。家庭医療はバランスのよくとれた「おいしい」幕の内弁当に似ている・小さいがおいしいおかずは小児科・整形外科・皮膚科。患者中心の医療は医師患関係という白米に味をつけた混ぜご飯、癖になる味。家族と地域に目を向けた診療は弁当に「温かみとよい香り」を与える。

広場5はパネルディスカッション「テーマ;北海道での家庭医療の展開(どうすれば家庭医になれるの?)」 各プログラムの責任者への学生の質問。「多職種との連携」をどうしたらよいか?
急性期と慢性期で職種が異なるが連携は大切。連携パスを作成している。ボランティア実習に参加することを推薦。幅広く現場を見ること。多職種カンファランスに参加する。
「学生時代に打ち込んでいて、今役に立っていることは?」診療所の実習・見学。COML
との出会い。患者の生の声を聞いたこと。ケースから学ぶこと。日本PC連合学会に入ること。
学生が参加しやすい企画を増やしてほしい。

広場6は総括。 No1ポスター発表、家庭医問題の優秀解答者の発表(金メダル受賞は札幌医大3年内山博貴さん)最後は参加者全員で記念写真撮影。

場所を中華料理店に場所を移して懇親会。学生参加者全員から感想をもらった。大変好評で、来年度も充実した企画をしたい。(山本和利)