札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2010年9月8日水曜日

兵庫医科大学講義「曖昧さを科学する」

9月7日、9:00-10:15は臨床疫学的診断法、すなわちDL. SackettのClinical Epidemiology A Basic Science For Clinical Medicine 2nd Editionを参考にして作った講義資料で、診断パターン・感度・特異度・検査前確率を解説した。具体的には年齢・性別の異なる3例の前胸部痛患者のシナリオを提示し、学生個々に検査前確率を想定してもらい、提示した感度・特異度・検査前確率を用いて2×2表で検査後確率を算出させた。またHC. SoxのMedical Decision Making(1988年版)を参考にした講義資料(十二指腸潰瘍の穿孔による腹膜炎症例)を基に、離島の環境を設定した場面(治療するかしないかのどちらか一つしかできない)で治療閾値について解説した。

10:25-11:40は、「あいまいさを科学する」授業。腹痛患者のシナリオを提示し(Fits-Hugh-Curtis症候群)診断プロセスを解説した。鑑別診断の仕方に重点を置いた。ABCアプローチ[Anatomy(解剖)とByoutai(病態)、Critical(致死的)、Common(頻度が高い)、Curable(治療法がある)]を強調した。最後に米国の家庭医療学の本からとった16例のケーススタディを行った。

一方的に講義をするのではなく、学生に問いかけながらの授業は、はじめ学生に戸惑いもあったようだが、慣れるにつれ眠り込む学生の少なく、評判も上々であった。(山本和利)