札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2010年9月8日水曜日

第6回ニポポ指導者養成講習会

9月4,5日、第6回ニポポ指導者養成講習会を企画し運営を行った。受講者は16名(3グループ)。タスクフォースは7時に集合して打ち合わせ。8時開始。責任者として山本和利の挨拶後、偏愛マップを用いたアイス・ブレーキングで和んでもらった。最初は江別市立病院の阿部昌彦先生から「臨床研修制度の現状と問題点」のWS。ここ3年、北海道の研修医数は少しずつ減少傾向と報告。各施設の現状紹介後、KJ法で各グループから対策を出し合ってもらった。
続いて勤医協中央病院の尾形和泰医師の「学習のプロセス」のWS。あまり理論的な面を強調せず、研修医教育に必要な概念をコンパクトに講義してくれた。特にRUMBAを強調(real, understandable, measurable, behavioral, achievable)。
午前の最後は北大病院の宮田靖志医師の「プロフェッショナリズムの教育」のWS。その必要性を強調。SEA(significant event analysis)を参加者に書いてもらい、グループで共有した。最後に製薬会社との関わりについて触れた(便宜提供の関係を断つ)。
昼食前に全体の集合写真撮影。

昼食後、松前町立松前病院八木田一雄医師主導による「上手なフィードバックをしよう」は、はじめに実情と理論を講義。(アンケートによると、指導医は60%の研修医に問題を感じており、研修医は80%の指導医に不満を感じている)。3人一組でのロールプレイは研修医役、指導医役、評価者役をそれぞれ1回ずつ(緊張しやすく技術が未熟な研修医、当直明けで眠気を堪えて外来研修を受ける研修医、問題をあちこちで起こすのに自信満々の研修医の3シナリオ)。60分間、皆さん役になりきって熱演していた。
勤医協中央病院佐藤健太医師の主導で「SNAPPS法:研修医のレベルを5分で診断」のWS。RIMEモデルを解説(Reporter, Interpreter, Manager, Educator)。研修医のレベルをreporterからinterpreterに成長させる。SNAPPS法とは、Summarize H & P(3分で発表), Narrow the differential(3つのい絞る), Analyze the differential(根拠を比較する), Probe the uncertainties(不明点を質問する), Plan management(プランを検討する), Select case-related self-study(宿題を決める)、の6段階で指導するやり方である(6分間で終える)。新型インフルエンザ大流行時、1歳女児、発熱というシナリオを3人一組でロールプレイ。
札幌医大の寺田豊医師の主導で「地域診断を利用した地域医療研修教育」のWS。持続可能な臨床教育が重要。その地域診断ツールを9つ紹介(0. Community on foot, 1.Social mapping, 2. Genogram, 3. Community Organization Chart, 4. Local Health Systems, 5. Community Calendar, 6. Local History, 7. Life Stories, 8. Photo Voice.)。最後に地域医療研修の1カ月カリキュラムを、松前・富良野等特定地域を想定して作成してもらった。
夕食前に北海道庁鈴木隆浩主幹の「北海道の地域医療の現状と臨床研修」という講義を頂いた後。情報交換会。

2日目。勤医協中央病院の尾形和泰医師の「卒後臨床研修評価」のWS。臨床研修に関する書類が配布され解説が行われた。
続けて勤医協中央病院臺野巧医師の主導で「実践的な教育の評価」は、3シナリオを準備していずれか1つのシナリオに沿ってロールプレイを行った。最初に初期研修医評価のための指導医会議(指導医2名、看護師長1名、看護主任1名、ソーシャルワーカー役1名)を模擬体験した。ACGMEで開発されたモデルに基づいて6項目について評価をしてもらった(患者ケア、医学知識、診療に基づいた学習と改善、コミュニケーション技術、プロフェッショナリズム、システムに応じた医療)。
札幌医大の寺田豊医師の主導で「ティーチング・パールを共有しよう」のWS。参加者各自が得意ネタで10分間講義をそのやり方へのフィードバックを行った。
最後に総括として、参加者の感想をもらい、終了証を手渡して解散となった。

参加者のほとんどが満足し、明日から実践したいという意見が多かった。タスクフォースのまとまりも強化される。年に1度は開催してゆきたい。(山本和利)