4年生を対象にした「臨床疫学」という授業を行った。これまでは「EBMと臨床研究」というコースを前期に行ってきたが、今年度より「EBM」と「臨床研究」切り離されて、EBMのところが「臨床疫学」となった。
EBMをどのように実践するかを解説した。
第1段階で、質問を受けた者が答えることが可能な疑問文を作成し,第2段階で、情報の収集をし,第3段階で文献を批判的に吟味し,第4段階で得られた情報が自分の担当する患者に適用できるかどうかを判断するという手順を踏む。
疑問の定式化の例を示す。
P:Patient:どんな患者に
I:Intervention:治療を行うと、
C:Comparison:プラセボの場合に比べて、
O:Outcome:stroke発生率または死亡率が低下するか。
授業では科学性だけを強調したわけではない。逆に「人間を対象にした場合75%は科学が通用しない」ことを述べた。 エビデンスを知ることで、誰もが行っている治療法ができなくてはいけないのは当然のこと。それを提供することは医療専門職としての誠意であり、前提にあるもの。しかし、それだけで十分かというとそうではなく、75%は、エビデンスのみで解決できない問題が絡んでいるということだ。残りの75%は人間力で対応しなければならないのである。(山本和利)