遅ればせながら、毎週木曜日朝に開催されているインターネット学習会
(プライマリケアレクチャーシリーズ)で
「糖尿病の足病変」の講義をしたので報告する。
かつて糖尿病診療といえば、血糖値とHbA1cだけで行なっているのが常であった。
その後、合併症としての網膜症や糖尿病性腎症がクローズアップされ、
最近では眼科との連携や尿中アルブミンの測定などは一般的に行われるようになった。
しかし、足病変に関しては関心が薄いのが現状である。
足病変は診断困難でも治癒困難でも予防困難でもない!
感度特異度の優れた簡単な身体診察法が存在し、
かつ、定期的な診察を継続することで
足切断を予防することができるというエビデンスも存在するのである。
これはぜひ普段の外来で実践したいものである。
神経障害性足の診断
音叉による振動On-Offテスト 感度53% 特異度99%
モノフィラメントによる圧覚検査 感度77% 特異度96%
虚血性足の診断
後脛骨動脈と足背動脈両方の拍動の欠如 感度70% 特異度95%
潰瘍予防可能性のある原因は86%
最も多いのは下肢皮膚の軽微な傷である(水虫含む)
そのため、足の視診が最も大切
以上を効率良く行う診察姿勢として、以下の写真を参照いただきたい。
この姿勢で上記の診察技法を手早く行えば、
ひとりの患者に書ける時間は慣れれば5分以内であろう。
毎日毎日全ての患者の足を見る必要はない。
糖尿病患者の3年後の潰瘍発生率は証明されており、
そのリスクの度合いによって、診察頻度を変えればよい。
神経障害なし 5.1% 1回/年
神経障害あり 14.3% 2回/年
神経障害・血管障害併存 18.8% 4回/年
糖尿病患者の一般外来での足の診察のシステム化が行われれば、
多くの患者の足切断を予防することができるであろう。
さぁ、明日から『みんなで足を見よう!』(助教 松浦武志)