『学問』(山田詠美著、新潮社、2009年)を読んでみた。
著者は、官能小説家と言われることが多いように思われるが、本作はそんな風には感じさせない清々しさがある。ここでは4人の少年時代から青年期までを性への目覚めと学問への渇望を物語にしている。東京から引っ越してきた少女、リーダー格で人気者の少年、食いしん坊な少年、眠るのが生きがい(もしかしてナルコレプシー?)の少女。
各章のはじめに、数年から数十年後の彼らの訃報記事が掲載されているのが興味深い。それがあることによって、その後の運命を知っているが故に、少年時代の行動を深読みしてしまう(それも著者の狙いかもしれないが・・・)。再読してみると、はじめ関連がわからなかった最初の訃報記事と最後の訃報記事が繋がるようになっている。
本書は少年時代のことを思い出すのに、役立つのではないだろうか。(山本和利)