7月20日、日本内科学会第51回生涯教育講演会が行われた。
九州大学 吉良潤一先生
■多発性硬化症
再発、寛解を繰り返す自己免疫性の脱髄疾患である。疑ってMRを撮ると診断できる。髄液検査で細胞・蛋白増加がみられ、オリゴクローナルIgGバンドがみられる。
Th17/Th1細胞が寄与する。日本では視神経脊髄型が多い。AQP4抗体がアストロサイトを破壊する。
日本では2013年現在、17,000名の患者がいる。女性で増加しており、若年化している。高緯度地区で多い。遺伝と環境の相互作用で、EB,ピロリ菌、ビタミンD欠乏、タバコが関係する。
治療は、急性期はステロイドパルス療法で、効果不十分の場合は血液浄化療法を追加する。
再発防止には、インターフェロンβである。
効果不十分の場合は、フィンゴリモドが使用される。副作用で、徐脈性不整脈、ヘルペス罹患、黄斑浮腫がある。
ナタリズマブ(インテグリンに対するモノクローナル抗体)が使用できる。年間薬価は300万円する。JCウイルス抗体陽性者では、進行性多巣性白質脳症の発症リスクが増す。