6月16日、江別市立病院の日下勝博医師が講義を行った。
まず自己紹介。自治医大卒。道立羽幌病院、焼尻診療所勤務。道内の中小病院で過ごしてきた。どこも人手不足、崩壊の危機。総合診療とは?地域医療とは?その答えを探す旅であった。
総合診療って何?「広く浅く」では使えない。「広く深く」はありえない。「広く中程度」ではインパクトがない。
焼尻島での事例。人口350名。陸まで船で1時間。50歳さん。「なんとなく頭が痛い」1年前から。いろいろな病院に行った。
脳外科、婦人科、整形外科、内科に行った。
「単なる頭痛」「更年期障害」「高コレステロール血症」「胆石」
これらに7種類の薬を処方された。
よくある筋緊張性頭痛、鎮痛剤の飲みすぎ。カフェインの飲みすぎ。
コーヒーを我慢して、薬をできる限り減らしたら頭痛は改善した。
80歳男性。元気がなくて寝てばかりいる。「高血圧、糖尿病、高脂血症、認知症、不安神経症、前立腺肥大症。
16種類の薬が処方されていた・ほとんど内服していない。薬を最小限にした。
専門医は専門分野に深い知識と確かな技術。専門分野の中で考え、分野外のことに口出ししない。合成の誤謬(個々では正しくても、全体ではおかしい。)バランスよくみる医者の不在。
総合診療とは、患者の問題を総合的に解決すること。
江別について。人口12万人、酪農とレンガの町。337床。「大きな田舎」である。西の舞鶴、東の江別。
崩壊の原因。縦割り・細分化の弊害。
疾病構造の変化。
札幌との競合。
ある夜の救急外来。84歳女性。慢性心房細動、慢性心不全。感冒症状後、食欲なし。循環器科医は「肺炎」、呼吸器内科医は「心不全」。総合診療医「肺炎を契機に心不全が悪化した」
臓器を特定できない。いろいろな臓器が悪い。Commonで単純な問題。地域の要となる。→地域の中小病院。病院総合医があってもいいのではないか。
研修医を核としたチーム医療
受け持ち患者一覧を供覧。肺炎等、感染症が多い。
症例提示。59歳女性。右背部通、上腹部痛。胆嚢に胆泥あり。右下腹部に圧痛。CTで憩室あり。右足のしびれ。→転移性脊椎腫瘍。
最後に
地域医療の現場では
知力、胆力、哲学、体力、魅力、少々の運、が必要。
町立南幌病院プロジェクトを紹介。
深刻ではないが複雑。
看護婦不足。
守りから攻めの地域医療を目指す。
具体的に総合内科の診療を提示しながら、地域医療・総合診療について語ってくれた。(山本和利)