『パリの中国人』(ドイツ・フランス 2009年)という‘BS世界のドキュメンタリー’を観た (深夜に放映されたものを録画して朝5:00から観ている)。
本作は1989年、天安門事件に参加し、当局から難を逃れるためにフランスに亡命した2名の中国人のパリでの生活を取材したものである。
取材に応じてくれたのは天安門広場に集まっただけで、処刑されてしまった市民の写真を偶々撮影して、後日発表したために亡命せざるを得なくなったカメラマンと集会に参加して下腿に銃創を負った学生だった者2名である。
正義を信じて行動した者の潔さの裏に横たわる必ずしも幸福とは言えない亡命生活が映し出される。中国で風景カメラマンであった者は、商品のカタログカメラマンを辞して売れない絵を書き続けている。元学生であった者はインターネットで一日10時間中国の民主化を訴え続けている。
正義のために前途有望の人生を棒に振って、望郷の念にかられながら生きている人たちを忘れてはならない。観る者にそんな風に思わせる作品である(山本和利)