『本の魔法』(司修著、白水社、2011年)を読んでみた。
著者は画家であり、装幀家、作家。装幀家としての本との出会い、作家との関係が述べられている。装幀を通じて、文学者から「生き方」を学んだという。表紙に、著者が関わった15冊の本がきれいに掲載されている。
吉井由吉『杏子・妻隠』では、読了後のイメージから「女の木」を描く。それがユングや渋澤龍彦等がいう「哲学の木」や「生命の木」「知恵の木」「錬金術の木」に似ていることに気づく。
ときにテキストを深読みしてかえって不評を買うこともあったそうだ。
島尾敏雄の『死の棘』について語られる。私にはこの夫婦の関係や会話が恐くて読めなかったことが思い出される。
高尚な本が並んでいるので、読了するには少し敷居が高いかもしれない。(山本和利)