札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2012年10月12日金曜日

臨床疫学(EBM)総論


4年生を対象にした「臨床疫学」という授業を行った。これまでは「EBMと臨床研究」というコースを前期に行ってきたが、今年度より「EBM」と「臨床研究」切り離されて、EBMのところが「臨床疫学」となった。

EBMをどのように実践するかを解説した。

第1段階で、質問を受けた者が答えることが可能な疑問文を作成し,第2段階で、情報の収集をし,第3段階で文献を批判的に吟味し,第4段階で得られた情報が自分の担当する患者に適用できるかどうかを判断するという手順を踏む。

疑問の定式化の例を示す。

P:Patient:どんな患者に

I:Intervention:治療を行うと、

C:Comparison:プラセボの場合に比べて、

O:Outcomestroke発生率または死亡率が低下するか。

 
次の情報の収集は、最近では原著論文を批判的に吟味した情報をまとめた二次情報データベース(DynamedUpToDateなど)を利用することが得策である。この点についても言及した。

授業では科学性だけを強調したわけではない。逆に「人間を対象にした場合75%は科学が通用しない」ことを述べた。 エビデンスを知ることで、誰もが行っている治療法ができなくてはいけないのは当然のこと。それを提供することは医療専門職としての誠意であり、前提にあるもの。しかし、それだけで十分かというとそうではなく、75%は、エビデンスのみで解決できない問題が絡んでいるということだ。残りの75%は人間力で対応しなければならないのである。(山本和利)

2012年10月10日水曜日

多職種連携教育(IPE)


109日、札幌医大FD教育セミナーでHugh Barr教授の講演「What is an effective Interprofessional Education?」を拝聴した。

 
多職種連携教育(IPE)についての話。講演者の背景はソーシャルワーカーである。エビデンスはあるのか、という質問で始まった。

IPEは有効か?」

「どんな状況でどんなタイプIPEをするとどんなタイプの結果が得られるのか?」という疑問に答えよう話が進んだ。

「どんなIPEか(教室、職場・・・)」「誰からの根拠か(患者、学生、教師・・・)」「誰のための根拠か(学生、教師、大学、行政・・・)」「どんな方法で(観察、アンケート、インタービュー、フォーカスグループ・・・)」が問われる。

エビデンスを探してみよう。「どんな評価法が適しているのか?」

システマティックレビューの長所と欠点(出版バイアス、言語バイアス、タイムラグ)が示される。1974年から2003年の文献検索の結果を紹介。研究方法:複数41%、質問法:32%、臨床評価:20%、インタービュー:6%、観察:3%。米国が54%、英国が33%、その他の国が13%。卒後:79%、卒前:19%、両者:2%。実施期間7日以上が58%、27日が26%、1日以下が14%。結果は学習者の反応や態度の変化、知識・技術の向上、行動の変化、組織的行動の変化、患者の利益、等でみている。

まとめると

卒前では、協働の必要性の気付きがたかまり、態度が変わる。

卒後では、行動変容しやすくなり、実践力が向上する。

その後、質疑応答があった。

英語だけで1時間半途切れなく話されたので、スライド原稿から論旨を推測しながらの書き起こしとなった。(山本和利)

2012年10月8日月曜日

地域医療の現状と課題

106日、余市協会病院の70周年記念講演会に招かれ、「地域医療の現状と課題」の講義を行った。映画『ダーウィンの悪夢』を導入に「ミクロ合理性を足し合わせた結果、マクロ状況の不合理につながる」という話をした。医療界においても医師それぞれが自分自身の眼の届く範囲で一生懸命やっていても、総和として地域医療がうまくゆかないことに結びつけて話した。

医師の時間の20%は利他的な活動に割くようなことが必要なのではなかろうか。次に実際に出会った患者さんの例を挙げながら、現実の医療の現場は混沌として、単純化できず一筋縄ではゆかないことを話した。

混沌とした現実に対応できる総合力を持った医師が求められる。最後に、地域医療再生の5つの作業仮説を述べた。余市町長や医師会長も聴講しており、熱心に聴いてくれている雰囲気が伝わってきて大変話しやすく、気持ちよく講演を終えることができた。(山本和利)

2012年10月5日金曜日

地域医医療:導入編

105日、地域医療総合医学講座の「地域医療」講義の第1回目を行った。

自己紹介をした後、これまで地域医療で経験した事例を紹介した。その後、映画「ダーウィンの悪夢」を通じて、個々の合理的な活動を集約したときに、全体として最悪の結果が起こりうるという「合成の誤謬」の例として紹介した。日本の地域医療の現状も例外ではないと。

地域医療の総論を述べ、最後に短期間ではあるが伊良部島で診療にあたった研修医の日記を紹介した。

学生さんから、たくさんの好意的な意見が寄せられた。地域医療に対するイメージが変わった、短期間でいいのなら是非、地域医療の現場に行きたいという意見が多く見られた。今後の授業への期待も大きいことがわかった。(山本和利)

2012年10月3日水曜日

医療面接

102日、医療面接の導入の講義を山本和利、稲熊良仁助教が行った。例年より半年前倒しになっている。

授業の最初に、稲熊助教が「医療面接の理論と基本」の話をした。第一段階は医療とコミュニケーション。ファーストフォード店の店員と医師の違いを問いかけた。「医療は最初からリスクの高い職場である」「患者やその家族の感情の中で働く」「マニュアル化しにくい事象を扱う」こと、患者には相反する気持ちが同居しているので、それに対応できるだけの理論と技術が必要であることを強調した。

2段階、非言語的と言語的コミュニケーションを説明。場のセッティングが重要である。空間をコントロールすること、身だしなみを整えること、自分の第1印象をコントロールすること。聴く技術と訊く技術の大切さを強調した。

第三段階、医療面接の実際を解説した。

Take home Messageは「医療面接もコミュニケーション技法を用いた一つの技術である」「技術に心を込めるのがプロフェッショナルである」

 
後半は山本和利が、津田司先生監修のビデオテープで医療面接について解説をしながら授業を進めた。このビデオには故田坂先生が医師役で出演している。

ポイントは

・身だしなみ、言葉づかい、礼儀

・医療面接の目的、意義

1.         患者と良好な関係を構築する

2.         患者から情報を収集する

3.         患者への働きかけ(治療・教育)

・面接の手順と把握すべき情報

はじめはOpen-ended questionを用いること、その後にClosed questionに移ること。

・基本的コミュニケーション技法

1.        導入

2.        主訴の把握

3.        共感

4.        説明モデルを知る

5.        不足分を直接質問法で補う

6.        既往歴・家族歴・患者背景を聞く

7.        要約と診察への導入

8.        患者教育・治療への動機付け

次回は学生同士で実際にシナリオを用いた実習である。頑張って!(山本和利)

第5回 地域医療体験キャンプ in 幌加内町


 

92930日と12日で「第5回 地域稜体験キャンプ」に行って参りました。今回は1年生7名、5年生2名の少数精鋭部隊です。

行きのバスでは5年生から1年生に「バイタルサイン講義」をしてもらいました。

幌加内町国民健康保険病院の森﨑院長より「地域医療」についての講義をしていただき、今回のメインイベントである「ライフストーリー聴取」を行いました。住民の方々の自宅へお邪魔し、「その人がどのような人生を歩んできたか」、また「楽しかったことや辛かったこと」などを伺ってきました。学生達は戦後の大変だったお話など、興味深く聴いておりました。
 
翌日に各グループ毎にパワーポイントで「ライフストーリー」の発表を行いました。前日、夜遅くまで準備したようで、発表もすごくよいものでした。学生達は「聴く」ことの難しさや、またその人の人生を聴くことで「病気」中心でなく「その人」を中心にしなければいけないことを学んでくれたようです。

この調子で、これからたくさんのことを勉強していってもらいたいと思います。(助教 武田真一)

2012年10月1日月曜日

FLATランチョンセミナー


9月29-30日に開催される「第5回 地域医療体験キャンプ」のオリエンテーションを行いました。
 
参加者は9名でしたが、要項の確認をし、5年生より1年生へ血圧測定の実技指導をしてもらいました。
5年生からの感想として「やはり教えることは難しい」とのこと。慣れていれば、普段は何気なくできていることでも、全く知らない人に「教える」ことは大変です。このことを改めて理解していただいただけでも大きな収穫かと。
1年生の皆さんにはいずれ自分達が「教える」立場になることを意識してほしいと思いました。(助教 武田真一)