これからの医療に必要な医師の能力
1.疾病負荷(disease burden)
・WHOのレポート
・死亡上位原因:悪性腫瘍、心疾患、脳血管疾患、自殺、肺炎である。
メタボリック・ドミノ:生活習慣、肥満、糖尿病、高血圧、喫煙、から疾病に向かう。
本当の死因:喫煙、不適切な食生活、アルコールである。40%に寄与。
社会で必要なことは、非伝染性疾患の厳格な管理のできる医師。「効果的に健康な生活習慣を導き、維持できる医師」
がん検診の受診率は20%である。がん検診、癌予防接種は誰が勧めるのか?がん家族の検診は?
・障害上位原因:うつ病、虚血性心疾患、脳卒中、(女性では精神疾患が上位を占める)
ジェネラリストがメンタル・ヘルスを行う必要がある。
・健康の社会的決定因子
貧困、経済格差、友人のネットワーク、地域の犯罪率、失業率、(国保加入者の平均給与80万円、老人の医療費80万円)
・高齢化の穏やかな津波
2030年問題。在宅での看取り問題。47万に看とりの場所がない。日本の高齢化は特別である。老年症候群(認知症、転倒、失禁、うつ)
・複数の健康問題
聖路加病院では患者一人で4.6個の疾患を持ち、4.3科を受診する。当直をどうする。専門医では対応できない。
2.プライマリ・ケアの原理
・医療の窓口
・継続性
・包括性
・ケアの調整、連携
米国では家庭医がいなくなると58%無医地区が増える。
3.プライマリ・ケアのエビデンス
・医療費が33%安くなる。
・WHOはプライマリ・ケアの必要性を訴えている。
4.これから何をやっていかなければならないか
・源流を遡る医療(溺れる人を助けることも大事だが、川に落ちないように上流に橋を架けることの方が大事)
・『7つの習慣』という本の中で、第2領域という概念を紹介している。
第2領域:緊急ではないが重要な業務(慢性疾患、予防、増進、緩和ケア)をやらなければならない。「攻める家庭医療」を強調。2・3次予防から1次予防へ。
・総合医・家庭医は必要
・数が必要
・多くの人に役立つ医師になりましょう、という言葉で締めくくられた。(山本和利)