『夢違』(恩田 陸著、角川書店、2011年)を読んでみた。
著者は1964年生まれ。数々のファンタジー、推理小説、等で文学賞を受賞している。
皆さん、よい初夢を見ただろうか。
主人公は、夢判断を職業とする。10年前に死んだはずの女の幽霊を見る。あるとき、全国の小学校で食中毒事件が発生。主人公は、10年前に死んだはずの女の夢を見る。リアルな小学校の場面。どうやら死んだ女は予知夢を見るらしい。その内容がいつ起こるのかがわからないという問題がある。過去に起きたことを見ることもあるという。
「夢札」という言葉が出てくる。これは見た夢を機械に記録することらしい。そして、ある機械でしかこの夢札を見ることしかできない。日本では、医療分野に利用が限定されていて、心療内科の治療に用いられている。
子供の引いた夢札を見る。奈良の吉野、白い犬、強大な烏、烏の中の女の顔、とホラー小説風な話が次から次と出てくる。
個人のものであった夢を、夢札によって他人の夢を可視化できるようになったら、何が起こるのか。予知夢を見ることは幸せなのか。
このような小説を読むことに私自身が慣れていないので、作者の意図が読めない。チョット冒険してみましたが、残念ながらついて行けませんでした。SFファンには好評のようだ。夢とは何か、考えるきっかけにはなるかもしれない。(山本和利)