1月31日、筑波大学東京キャンパス文教校舎でリサーチマインドを持った総合医の養成合同公開フォーラムに参加した。
まず、文科省手島英雄氏の特別講演。
卒前卒後の一貫したプロ群ラム作りを目指した。科学の進歩、人口の推移を頭に入れて考えてゆく。
医師確保、病院・病床の機能の明確化、在宅医療・連携の推進、チーム医療の推進の4つの論点がある
「病院完結型」から「地域完結型」に移行。地域包括ケアシステム。多様な問題を抱える患者にとっては総合診療医による診療が適切。
地域の関係者と協議できる場を設ける。
15拠点が採択。成果をホームページで公開する。
その後、A,B会場に分かれて15拠点の事業の紹介(ポスターセッション)
札幌医大はA会場の6番目。「北の地域医療を支える総合診療医養成プラン」として発表。学部学生に対する地域医療マインドの醸成からはじまり、初期研修・後期研修取得まで、切れ目なく継続した総合診療専門医養成の教育体制を整備することを報告。各大学の個性のあるプログラムを紹介した。
昼食後、シンポジウム「本事業に期待される役割と今後の展望」
日本PC学会の丸山泉氏、前野哲博氏の司会、シンポジストは大熊由紀子氏、前野哲博氏、草場鉄周氏、福井次矢氏、吉村博邦氏である。
未来とリサーチの関係。
現場とアカデミックサイトとの連携。
前野哲博氏
「大学に求められる総合診療医の養成」
社会の期待:地域医療の核となりうる存在、地域を支える存在。キーワードは地域。「扱う問題の広さと多様性」「地域をみる医師」「多職種との連携」
地域包括的ケアにはたくさんのことが求められる。
「大学は地域包括ケアを回しうる人材を養成していかなければいけない」
全体的な視点からのコーディネーターが必要である。40歳以上の医師は大学に10%以下。残り90%の職場で働く医師の教育が必要。地域枠学生は1学年1425名。総合診療科希望者は内科と同じ率。
教育の場(大学の場合)
特定機能病院である。
Community-based careの提供が難しい。
DPCを導入している(単純化されている)。
トレーニングの場には向かない。
長所
専門家がそろっている。
研究
教育資源が豊富
大学病院ならではの症例が経験できる。
豊富なネットワークと選択肢を持っている。
地域における研究の拠点である。
終了後もキャリアサポートが受けられる。
大熊由紀子氏
「えにし」を結ぶ会を立ち上げている。国民の幸福度は、デンマークが1位で日本は90位。医療費は同じなのに。
病院には必要な人だけがいる。総合診療医がいる。
母親の介護の話。
居場所に台所がある。居間が必要。訪問歯科医に診察によって食べられるようになった。価値観に合わせてテレビをみる。見違えるように回復した。安心して住める「地域」が必要である。「ノーマリゼーション」が必要。
人間が必要な3つのこと。居場所、味方、誇り→生きる力。
草場鉄周氏
「大学の総合診療への地域からの期待」
小さな町村の医療を担っている。3つのミッション。実践、養成、貢献。医学生教育。初期研修医教育。
後期研修
多様性を学ぶ
双方向性
アイデンティティの確立
フェローシップ
4領域を網羅した幅広く学ぶ
家庭医としての個性の発見
グループ学習と現場を往復できる学習環境
学習する組織を目指している
・QI活動
・アカデミック活動:介護者の介護度の開発
医学生にアピールするむずかしさ
- 総合診療教育・質が高い、体験型、現場と大学とが一緒に振り返り・尊敬される総合診療部であることが必要
- 指導医養成へのかかわり・reflective learning・教育ツールの開発
- プライマリケア臨床研究・リサーチクエスチョンを救い上げる・深い洞察へ
- QI活動・地域の医師の知見を集約して臨床の知をまとめる・医療政策にも活かす福井次矢氏米国:1960年代:全般的に診れる医師の養成。1970年代、一般内科。医療経済、臨床疫学が後押し。狭い分野、心理・社会的視点の欠如。→生物・心理・社会モデルを基にした診療。プライマリケアにおける研究とは?臨床疫学の用語が臨床で飛び交っていた。公衆大学院での勉強をしている。日本:幅広く見る、適切なコンサルテーション、EBM,基本的診療能力の教育、大学病院における総合診療の意義
- 幅広い健康上のニーズに効果的・効率的医療の提供
- 総合診療医師の養成
- 有効性・効率性の研究・方法論:臨床疫学、決断分析、質的研究リサーチマインドを持った総合診療医
- さまざまな種類の診療現場を経験する
- 「集団の視点」「地域の視点」をもつ
- 研究の方法論を身に着ける(公衆衛生大学院がよい)吉村博邦氏日本専門医機構総合診療専門医に関する委員会の紹介。基本方針
- 質の向上
- 誇りを持つ
- 夢と希望
- 医療供給体制の構築決めるべき事項
- あるべき医師像
- 育成プログラム
- ・・・初期対応、継続医療、保健・医療活動扱う問題の広さ地域を支える医療多様なサービス留意事項地域を見る高齢者複数疾患多様なバックグラウンド研修プログラム初期研修修了者向け他領域の専門医所得者地域で活躍中の医師キャリアパスの構築複数の学会、日本医師会、地方自治体等と協議研修施設群を形成「家庭医専門医」をもとに3年間内科6か月、小児科3か月、救急3か月を必修。指導医・専門医の下で。総合診療に関する研修を18か月。診療所・小病院は6か月。一般内科で6か月。e-learning今後移行プログラム活躍中の総合医が目指すプログラム指導医基準事務局広報財政基盤パネル討論「アイデンティティの問題」大学の総合診療を居心地よくする。「患者を診る視点が違う(場が求めているニーズに敏感である)」「ICPC2を使えないか」「総合診療医のリサーチ連携」「リサーチクエスチョンが重要である」「変容力が重要である」
総合診療への追い風を感じる時間であった。(山本和利)