6月19日、札幌医大で、ニポポ研修医の振り返りの会が行われた。松浦武志助教が司会進行。後期研修医:1名。初期研修1名、他:6名。
ある研修医の経験症例。往診と外来の研修が主体である。認知症で診察拒否をする80歳女性。るい痩で入れ歯が合わない。80歳代の慢性の頭痛。精神科から大量の薬剤が処方されている。心不全でペースメーカー在の90歳代女性。おりものがあり婦人科へ。寝たきりの80歳代女性。食が細い。喀痰が多く、微熱があり、入院となった。80歳代女性。徐脈である、心不全、貧血。薬剤性を疑う。多剤内服中の70歳代女性。起立時のふらつき。薬剤の減量を指示。
研修医から振り返り1題。
33歳男性。2型糖尿病、知的障害、脂肪肝がある。グループホームでひとり暮らし。169cm,100kg, 両親も知的障害。菓子メーカーに勤務。BP;135/89mmHg,
HbA1C:11%。
スナック菓子を食べる。ラーメンのドカ食い。入院することで体重は減少する。退院後、散歩を中止。体重の増加。
外来初回:食事内容を改め、減量の必要性を説明した。(これまでのやり方を踏襲)
家庭医の診療の特徴を出そうと考え、新たなアプローチに取り組んだ。
1)ナラティブ・アプローチを用いて糖尿病に対する思いを探ってみた(ナラティブ・アプローチとは、患者や相談者を理解する際に、彼らの主観を含めた全体性を重視するアプローチ。ナラティブとはストーリーや物語という意味)。
食べ過ぎによる肥満が原因と思っている。糖尿病は悪いもので、失明、足が腐る病気である。合併症を防ぐには、減量でるということがわかった。
生物心理社会モデルで、それぞれの領域で整理してみた。
病気以外の点で、間食がやめられない心理と自由に食べられる環境が判明した(お金に不自由しておらす、食事量を制限する人がいない)。
重要度・自信度モデルでも検討した。運動、食事が重要と認識しているが、自信がないようだ。短期目標として、週1回行っているバドミントンの回数を増やした。食事のカロリーを減らしてもらった。行動変容の関心期と考えた。
LEARNのアプローチも用いた。
L 共感をもって患者の問題に対する認識識を聴く
E 医師の認識識を説明する
A 共通点と相違点を認識識し、相談する
R 相談した結果できた⽅方針を勧める
N 実施できるように患者と交渉する
これらのアプローチを用いて、行動変容をもたらすことができた。
クリニカル・パール:難治性の糖尿病患者に対して、さまざまなアプローチを用いて行動変容を起こさせることが重要である。改善できる行動を患者自身に述べさせる。
研修終了生からの報告。
80歳代女性。後頭部痛。言葉が出ない。血圧が高い。BP;160/90mmHg。はっきりした神経学的所見なし。TIAを疑い、専門医を紹介した。後で脳出血であるとわかった。出血性梗塞の可能性は?
研修医は着実に家庭医に必要な知識と技法を身につけている。このペースで頑張ろう!