3月4日、NBMの授業の一環として患者さんから患者体験を語っていただいた。導入・司会役は月寒ファミリークリニックの寺田豊医師。
学習目標は、1)患者医師関係についての基本を理解する、2)患者心理を理解し患者中心の医療を展開する、である。
「患者さんの声を医療に生かす」という本を紹介。臨床では聞こえない声がある。耳を傾けてみよう。
患者さん(patient:苦しみに耐えている人)からでしか学べないことがある。
説明一つで天国にも地獄にもなる。
患者の声を医療に活かす(患者の声が果たす役割)。
- 医療の現実を知る
- 病気に関わる社会、制度などの問題
- 教科書にはない患者さんの生活、病気への思い
- 物語として医療、疾患を見直す「患者中心の医療」という本を紹介。疾患と病いの違い。病いの意味は?患者会のいうものを紹介。
- 当事者の会;がんの患者会、COML
- 家族の会;がんの子供を守る会
- 集団療法としての会;AA、断酒会、くろぱんの会(慢性疼痛)、レタスの会(拒食症) 等。「患者会の、3つの役割」は、 1)病気を科学的にとらえること、 2)病気と闘う気概をもつこと 、3)病気を克服する条件をつくりだすこと、である。患者会には、「セルフ・ヘルプ・グループ」としての役割 もある。
- 病気の悩みを共有したい
- 同じ障害を持つ人と話をしたい
- 自分の経験を役に立てたいセルフ・ヘルプ・グループの役割は、a) 問題の解決や軽減、 b) 問題とのつきあい方を学ぶ 、c) 安心していられる場所、環境を作る 、d) 情報交換 、e) 社会に対して働きかけをする 、等がある。自助拍手をやめない。形から入る。履物をそろえると心もそろえられる。患者さんの肘を持って歩くイメージ。自助の反対語は孤立である。もう一つのカルテ。患者さんへの思い。パラレル・チャートという。研修医時代のパラレル・チャートを紹介。患者と自己の物語をじっくりと振り返り、意味づけし、解釈し、再構築作業である。そして、自己の気づきを深める。病室にある「北海道 脊柱靭帯骨化症 友の会」から講師をお迎えして講演を拝聴した。最初の患者さんの話は「私とOPLL」。職業、病歴を紹介。49歳でMRIにより診断された。脊髄圧迫症状が急速に悪化し、ペンギンのような歩き方になった。茶碗を持てない。同時に父親の介護。誰に手術してもらうか?進行を止めることしかできなかった、最近治療法がいくつか発表されてきた。手術から6年たって、この病気と仲良く付き合っていくしかない。今、B型肝炎訴訟も戦っている・・・・2番目の患者さん。・・・洗濯物を右手だけで干す。髪を右手だけで洗う。手術のために生活の調整が必要であった。術後も症状が残る。(割愛)・・・歩行困難が出現。黄色靭帯骨化症と診断、手術。お金がかかった・・・麻酔科の薬の効果に感激。わかってほしいこと。見た目に障害がわかりにくい。やりたいのにできないことがたくさんある。受け入れる。できないことはあるけれど、すべてできないわけではない。二人からのメッセージ「いつも患者のそばにいて、患者と共に病に向かい合い、患者が病と折り合いが付けれるように支える人でいてほしい」2限目。ナラティブって何? 患者の「語り」を通じて、患者の「思い」にアプローチしようとするのがNBMの実践法。語られざる物語を聞き取る。寄り添いながら聞き続ける態度が重要である。「なぜ」という問いかけが重要。人の心がわかる力が必要。相互変容してゆく覚悟が必要。医療に与えられている大きな特徴・患者の人生の内奥への接近を許されている・患者の物語がケアの一部になる。・患者の経験にみみを傾ける経験によって、医療者は、そのケースに積極的に関心を持ち続けることになる。患者の語りと医師の語り・説明モデルとは、「患者が思っている」と医師が思うことの一つの解釈であり、患者の実際の言葉を直接描写したものではない。読むこと、書くこと、省察することことを通じて、医療者は患者の病の物語の誠実な力強い読者となって、患者の苦境を意味のあるものにする。アンテナ感覚Illness is a foreign country.・多くの患者はガイド、通訳を必要とする。学生には本日の講演についてタイトルをつけて、ライフストーリーとして書きとってレポート提出してもらった。(山本和利)