11月30日、第1回北海道プライマリ・ケアフォーラムで札幌医大1年生の発表を拝聴した。
医学史で扱った若月俊一先生の生涯をまとめて発表した。
劣悪な村の健康状態を知り、出張診療を始めた。
牛の健康診査を参考に、全村民を対象とした健康診断を始めた。
集まりをよくするため、演劇で啓発し、集団検診を行った。若月氏が脚本を書き、職員が演じた。村民の8割が高血圧であった。予防は治療に勝る。7年後には医療費抑制に成功した。
5割を入院に、3割を外来に、2割を公衆衛生活動に充てる。病院際を開催し、啓発を重ね、現在も2万人の参加がある。
医療の民主化も進めた。
日本農村医学会を設立した。国際農村医学学会も主催した。マグサイサイ賞を受賞。
若月先生は「人たらし」。魅力に取りつかれてしまう。教育活動、啓発をされた。
若月イズムはどうなったか。長野県は平均寿命日本1位、医療費は47位。佐久総合病院は地域医療のネットワークを支えている。地域ケア科(在宅医療を担う)。治す医療から支える医療、寄り添う医療の実践を行っている。健康管理センターを中心に予防活動。保健補導員を常駐させ、若月イズムは継承されている。現在、病院の分割再構築がなされている。
学生の感想。
その人たちとの積極的な関わりは予防医学的効果を増進する。住民自らが獲得するもの。専門性と総合性を持った両者のチームワークが重要。地域を知り、地域に溶け込んだ。
我々に地域医療へのヒントを与えてくれるのではないか。
パネリストから、「学生のレベルを超えた発表である」という賞賛があった。
討論
北海道でのヘルスプロモーション
・出稼ぎ健康手帳というものがある。
・仕事をする中で、認知症の患者問題が見いだされ、新たな課題が見えてくる。
・佐久病院におけるネガティブは面がなかったのか、そこが知りたい。
・5割を入院に、3割を外来に、2割を公衆衛生活動は、高度成長時代のモデルであり、現在は2割を入院に、3割を外来に、5割を公衆衛生活動・その他にすべきである。人・地域を看取る必要がある。
北海道での地域医療の歴史的変遷とこれからの在り方
・これまでは専門医療を地域に広げてゆくことであった。
・これを変えてゆく必要がある。
・何を目標にするかで方略は変わる。たとえば、受け持ち患者の救急受診が減る、等。
・医療者に対する行政の対応に改善を求めたい。継続性が大事である。
最後に発表した学生から、ヴァージョンアップをして次回に臨みたいという意見で締めくくられた。(山本和利)